パレートの法則 - “優れた少数”を等身大に認識できているか -

「大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」(cf.Wikipedia

 

別名『80:20の法則』や『ばらつきの法則』など。

優れた少数と、平凡な大多数、互いに互いへの感謝と尊重の念が重要なのでしょう。

 

少数の恩恵なくして大多数なく、大多数の支持なくして少数なし

 

「経済大国ニッポン!スポーツ大国ニッポン!」合衆国ニッポンポン!/

なんて言葉を、テレビなどでしばしば耳にますが、

経済大国と謳われる経済力はその大半が、少数の大企業が生み出す利益の恩恵であり、

スポーツ大国と謳われる功績は、少数のスター選手やメダリストによるものです。

 

そんな風に「大国ニッポン」といっても、その大部分を生み出しているのは少数で、

日本人の大多数は、そうした少数の恩恵にあずかっている側面があります。

 

ですから大多数を優先した政策を展開しようにも、少数の大企業を冷遇してしまうと

国の税収や経済が大打撃を受け、結果的に大多数の人間まで不利益を被ってしまう

…なんてこともあるかもしれません。経済の話はそんな簡単ではありませんが。

 

しかし、いかにそうした少数の考え方が正しく、優れ、成功に繋がっていたとしても、

周囲より優れていることは周囲と異なる少数派の証であり(人間は万物の尺度である

 

優れた考え方が、万人の人生にとっての正解とは限らず

 

周囲の人間の価値観を否定し、持論を押し付けていい理由にはならないでしょう。

まして今はネットで風評が極めて拡散しやすく、誰もが大きな力を持つ時代

少数の大企業やスター選手の功績の陰にはそれを支える大勢の存在がいることを忘れ、

成功体験に溺れ驕ってしまうと、それはやがて大きな失敗を招く…かもしれません。

 

 

昨今世間を騒がしている『ブラック企業』、これには2種類あると思います。

すなわち「社員を使い捨てしてやろう」という明確な悪意のあるブラック企業と、

「社員にも自分と同じ成功体験をしてほしい」という悪意のないブラック企業です。

 

社会で成功した経営者は、少なからず仕事が楽しくて好きで(好きこそ物の上手なれ

そうした考え方・働き方を「できて当然」と思っている傾向があり(プラシーボ効果

それ故に成功でき、同じ成功体験を社員にも求めることが多いのだと思います。

しかしそれがどれだけ正しくても、自身の正義の押し売りは自戒すべきなのでしょう。

 

 

 

今ここからの光景は、こんな感じ。

 

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自身の成功体験はあくまで自身の世界の産物であり、自身の経験を拡大解釈するなかれ