「影響の輪にエネルギーを集中できる人こそが主体性を高められる」cf.)『7つの習慣』
関心の輪:自分が関心を持っている事柄のうち、自分がコントロールできないもの*1
影響の輪:自分が関心を持っている事柄のうち、自分がコントロールできるもの
自分のことばかり見ていればいいというものではない
『影響の輪,関心の輪』 というのは、一部業界で極めて有名な*2
スティーブン・R・コヴィー氏の著書『7つの習慣』に出てくる概念で
「自分がコントロールできないことでなく、
自分がコントロールできる、影響を及ぼすことができる事柄に集中しなさい」
というものなのですが、この概念を解釈する上で、注意すべき点が3つあると思います。
1つ目は「他人という関心の輪の存在をどのように捉えるか」です。
たまに「他人は関心の輪だから、気にするのはやめよう」と解釈される方がいますが、
これは決して独善的な在り方を推奨する概念ではないと思います*3。
自分の姿を変えれば関心の輪の相手も変わると考えつつも(朱に交われば赤くなる)
そこに絶対はなく、相手の意志に謙虚である塩梅が重要なのでしょう(パブロフの犬)
2つ目は「原因を関心の輪に求めることも決して間違いではない」ということです。
実際問題として、失敗の原因の大部分が他者の一時的な偶然という事柄もありますし、
企業における成功者は失敗に対し、そうした楽観主義傾向*4が高いとする研究もあります*5
3つ目は「影響の輪はあくまで自分自身の“行動”を指す」ということです。
例えば「健康管理」という行動は影響の輪ですが「健康そのもの」は関心の輪です。
人間、何の落ち度もないのに突如難病&余命宣告なんてリスクは誰にだってありますし
自分の(簡単には)変わらない部分に原因を求めると抑うつになりやすいとされます*6
そんな訳で、極端に解釈されてしまいがちな『影響の輪,関心の輪』ですが、
原因や責任の重みを公平に、客観的に自他で配分すること
も大切であり、そうした関心の輪と影響の輪の関係性や現状をしっかり踏まえた上で、
影響の輪に集中してやることが大切なのではないでしょうか。
今ここからの光景は、こんな感じ。
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*1:厳密には「関心の輪」は「自分が関心を持っている全ての事柄」で、「関心の輪」の中に「影響の輪」があるのですが、今回は記述の簡略化を目的に「自分がコントロールできないもの」を「関心の輪」として扱わせていただきます
*2:このことを考慮して今回の記事は参考文献やらの脚注つきです
*3:現に『7つの習慣』の第4〜6の習慣は他人との関わり方について言及したものになっています
*4:あくまで他者の“一時的な偶然”に原因を求める所がポイント。他者の“必然的にして普遍的な性質そのもの”には求めていない
*5:Seligman,M.E.P. (1991). Learned optimism. New York: Knopf.
*6:Abramson, L. Y., Seligman,M.E.P., & Teasdale, J. D. (1978). Learned helplessness in humans : critique and reformulation. Journal of Abnormal Psychology, 87, 49-74.