コペルニクス的転回 - 誰一人として同じ世界は見えていない -

人間は皆と共通の世界で生きてなどいないのでしょう。

コペルニクス的転回とは

認識しているこの世界は誰が創り上げたのか

 

何?なぜ『色即是空』なのか、人間の認識がアテにならないのかわからない?

それは無理矢理認識対象を理解しようとするからだよ

逆に考えるんだ 「認識対象なんて存在していないのさ」と考えるんだ

 

一部で有名なカントの『コペルニクス的転回』は簡単に言うと上記の通りですが、

これを私なりに、もう少し現代科学風に言ってみると

 

人は自分の脳(心)が創り出した世界でしか生きられない

 

といった具合になるのではないでしょうか。

 

例えば視覚(特に色彩)。

「私達は“世界のありのまま”が脳に、瞳に映し出されている」

なんて思っているかもしれませんが、そんなことはありません。

 

眼球が捉えているのは「世界そのもの」ではなく「光(の中の可視光線)」です。

そして「光」の波長に基づき、脳が世界を創り上げて人間に認識させています。

つまり、人間が認識する前の世界、例えば物質の、それを構成する原子の色や形が、

人間が認識している色や形と同じである保障など全くない訳です。

私達は世界そのものではなく、脳が創り上げた架空の世界を見ているのです。

 

人間の認識も同じ。私達は認識対象そのものを認識している訳ではなく、

そこから得られた氷山の一角の情報を元に認識対象を創り上げているのだと思います。

 

 

人がそれぞれ創り上げているんだから、他者と認識が一致するはずがない。

同じお題を与えられても、できあがる美術作品がそれぞれ個性的で異なるのと同じ。

 

だからこそ同じ環境に置かれても、同じ対象を見ても、人によって心に、

その人の世界に創り上げられる心象風景は異なるのではないでしょうか。

 

 

 

今ここからの光景は、こんな感じ。

 

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